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タンパク質設計:計算機を使うタンパク質設計により反復構造型タンパク質集合空間を探る

Nature 528, 7583 doi: 10.1038/nature16162

タンパク質の進化に関する重要な疑問は、自然に生じたタンパク質が、そのポリペプチド鎖で作ることが可能な折りたたまれた構造が集合する空間をどの程度までサンプリングしているかというものである。モジュール化された構造単位が複数個、一列に連結された構造を持つ反復構造型タンパク質は自然界に広く存在し、分子認識やシグナル伝達などの生物学的に必須の過程で重要な役割を担っている。自然に生じた反復構造型タンパク質は、分子認識やモジュール化された足場への使用のために、設計し直されてきた。今回我々は、計算機によるタンパク質設計法を用いて、単純なヘリックス・ループ・ヘリックス・ループ構造モチーフの縦列型反復によって形成可能な折りたたまれた構造の集合からなる空間を調べることを試みた。既知の反復構造型タンパク質と無関係の配列を持つ83個の設計タンパク質の特性が実験によって明らかにされ、それらのうちの53個が単量体であり、95°Cで安定で、さらに43個からは設計モデルと整合性のある溶液X線散乱スペクトルが得られた。曲率が広い範囲に及ぶ15個の設計タンパク質の結晶構造は、二乗平均平方根(RMS)偏差が0.7~2.5 Åの範囲にあり、設計モデルと非常によく似ていた。我々の結果は、既存の反復構造型タンパク質は、存在可能な反復構造型タンパク質の配列と構造の集合からなる空間のほんのわずかの部分を占めるだけであって、正確に特定された幾何学的配置を持つ新規な反復構造型タンパク質の設計が可能であることを示しており、これは生体分子工学に新たな幅広い可能性をもたらす結果である。

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