微生物学:ヒトの腸内微生物相で2型糖尿病のシグネチャーとメトホルミン投与のシグネチャーを解きほぐす
Nature 528, 7581 doi: 10.1038/nature15766
近年、ヒトの一般的な慢性疾患と腸内マイクロバイオームの構成や機能の変化との間にいくつかの関連性が見られることが報告されている。こうした報告の多くは、投与計画で対照が設定されていないため、さまざまな薬剤が微生物相に与える影響によって結論に交絡が生じている可能性がある。それらの薬剤の影響は、微生物による原因、防御因子あるいは診断に関係するシグナルを覆い隠してしまいかねない。我々は現在、2型糖尿病(T2D)のヒト腸内マイクロバイオームで疾患および薬剤のシグネチャーを調べる研究に取り組んでいる。薬剤投与についての層別化が行われていないT2D患者群を対象にして過去に行われた2つの定量的な腸内メタゲノミクス研究では、T2Dに関連する腸内微生物のディスバイオーシス(構成バランス異常)について異なる結論が導かれている。今回我々は、利用可能な784例のヒト腸内メタゲノムを用いて、抗糖尿病薬がこれらの結果に交絡をもたらす仕組みを明らかにし、また、最も広く使用されている抗糖尿病薬メトホルミンの影響について詳細に解析した。その結果、微生物が短鎖脂肪酸の産生を介してメトホルミンの治療効果に関与していることの裏付けが得られた。加えて、大腸菌属(Escherichia)の種の存在量が相対的に増える形で腸に及ぶ既知の有害な影響の背景にあると思われる、微生物相を介した機構についても裏付けが得られた。我々は、メトホルミン投与に関して対照群を設定することで、T2Dでは酪酸産生細菌タクソンの減少を伴う腸内マイクロバイオームの変化という統一的なシグネチャーが見られることを報告する。こうした変化は次いで、マイクロバイオームの機能的変化を引き起こすが、その一部はメトホルミンに誘導された変化によって軽減される。総合すると本研究は、特定のヒト疾患の腸内微生物相シグネチャーと投薬によるシグネチャーを解きほぐす必要性を浮き彫りにしている。

