Letter

筋収縮:骨格筋による力の発生は、ミオシンフィラメントでのメカノセンシングにより制御されている

Nature 528, 7581 doi: 10.1038/nature15727

骨格筋と心臓の収縮はどちらも、アクチンを含む細いフィラメントで起こるカルシウム依存性の構造変化によって制御されていると考えられていて、この構造変化によって細いフィラメントの隣にある太いフィラメントからミオシンモーターが結合できるようになり、フィラメントのすべり移動が推進される。今回我々は、ヨーロッパアカガエル(Rana temporaria)の1個の骨格筋細胞をシンクロトロン小角X線散乱法によって調べ、低負荷に対しては、よく知られている細フィラメント機構だけで筋収縮の調節に十分だが、高負荷での力の発生には、太いフィラメントの構造変化につながる第二の許容性の過程が必要なことを明らかにした。太いフィラメントの静止(スイッチ「OFF」)状態の構造の特徴は、ミオシンモーターがフィラメント表面上にらせんを描いて存在し、フィラメント骨格に短い周期性が見られることである。低負荷での収縮の際には、このOFF状態の構造がほぼ完全に維持され、収縮は太いフィラメントによる制御の対象外にある少数の構成的に活性な(スイッチ「ON」状態の)ミオシンモーターによって推進される。高負荷の場合には、これらのモーターが、太いフィラメントでその骨格が長い周期性を持つON構造へと変化するのに十分な応力を発生し、高負荷収縮に必要な大多数のモーターの抑制を解除する。太いフィラメントが調節性のメカノセンサーとして働くというこの考え方は、骨格筋の力学的性質とエネルギー特性に対する新たな説明となり、おそらくは心臓でも同様な仕組みが働いていると考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度