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免疫学:制御性T細胞レパートリーの拡大機構と自己寛容におけるその役割

Nature 528, 7580 doi: 10.1038/nature16141

T細胞受容体(TCR)シグナル伝達はT細胞の運命決定に重要な役割を担っている。自己ペプチドと主要組織適合遺伝子複合体(MHC)からなる複合体に一定の範囲内での低親和性を示すTCRを発現する前駆細胞は、正の選択を受けてナイーブT細胞に分化する。そのためナイーブT細胞の発現するTCRレパートリーは非常に多様な自己MHCに拘束されたものである。対照的に、「自己」に高親和性を示すTCRを発現する前駆細胞は、TCRアゴニスト誘導性のアポトーシスにより除去されるか(負の選択)、あるいは制御性T(Treg)細胞により抑制されるかのどちらかの運命をたどる。Treg細胞の分化や機能はX染色体にコードされる転写因子Foxp3によって支配されている。Foxp3は自己反応性T細胞の一部で発現していて、こうしたT細胞はアゴニストによるTCRシグナルとインターロイキン2(IL-2)受容体シグナル伝達の組み合わせに応答して、負の選択を回避する。TCRアゴニストによる選択により、Treg細胞に加えて、他にもいくつかの特殊化したT細胞系統が生じ、それらにはナチュラルキラーT細胞や自然免疫に関わるMAIT(mucosal-associated invariant T)細胞などが含まれる。後者のTCRレパートリーは限定されているが、Treg細胞のTCRレパートリーは非常に多様である。今回我々はマウスを使い、特異的機構が多様なTCRレパートリーを持つTreg細胞のアゴニストによる選択を可能にしているのかどうか、また、この機構が自己寛容の保持に重要であるのかどうかを調べた。Foxp3のイントロン性エンハンサーであるCNS3(conserved noncoding sequence 3)が、前駆細胞でFoxp3プロモーターの待機状態をもたらすエピジェネティックなスイッチとして機能し、広範なTCR刺激、中でも最適に及ばない刺激に応答してTreg細胞系統の運命拘束を行うことが分かった。CNS3に依存して起こるこうしたTCRレパートリー拡大により、Treg細胞は自己反応性T細胞を効率的に制御でき、これは特に胸腺で負の選択が遺伝的に障害されている場合に有効である。我々の知見は自己寛容に関与するこれら2つの主要機構が相補的な役割を持つことを明確に示している。

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