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宇宙論:中高温バリオンは宇宙のクモの巣構造のフィラメントの5~10%を構成する
Nature 528, 7580 doi: 10.1038/nature16058
宇宙マイクロ波背景放射の観測結果からは、バリオンが宇宙全体のエネルギー組成の5%を占めることが示されている。近傍宇宙において、観測された全てのバリオンを調査した結果はこの見積もりの半分に達しない。宇宙論的なシミュレーションによって、観測されていないバリオンはビリアル化したハローに濃集しないが、中高温銀河間物質と呼ばれる、温度が105~107 Kの低密度プラズマとして、宇宙のクモの巣構造のフィラメント(そこでは物質密度が平均よりも大きい)全体に存在することが示されている。遠方のブレーザーの視線方向に沿った中高温バリオンと、相互作用している銀河団の間の高温ガスを検出したとする主張がこれまで存在している。しかし、こうした観測では、大規模なフィラメント状構造を追跡すること、つまり宇宙の典型的な体積中の中高温バリオンの総量を見積もることはできなかった。本論文では、銀河団アベル2744に付随する107 Kの温度のガスのフィラメント構造のX線観測について報告する。この銀河団のこれまでの観測では、同じ位置にあるX線点源を解像し、除去することができなかった。X線点源を取り除いた後、我々は8メガパーセクの規模を超えてコヒーレントな高温ガスの構造を見いだした。これらのフィラメントは、銀河や暗黒物質の密度超過領域と一致し、その質量の5~10%はバリオンガスに相当する。このガスは、銀河団の重力による引力によって加熱されており、銀河団のコアに流入している。今回の発見は、観測されていないバリオンの大部分が宇宙のクモの巣構造のフィラメント中に存在するという宇宙の描像に対する証拠を強固にする。

