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細胞生物学:治療用抗体によって明らかにされた、成人肺での分化転換のNotchによる制御

Nature 528, 7580 doi: 10.1038/nature15715

前駆細胞の分裂の際には、受容体Notchとそのリガンドとを介した細胞間の情報交換によって2つに分かれる細胞運命のどちらになるかが決定され、分化した細胞系列が固定されるという説が広く受け入れられている。哺乳類気道の粘液線毛クリアランスは、粘液を生産する分泌細胞(クラブ細胞と杯細胞)と、粘液を移動させるための線毛細胞を必要とする。これらの細胞系列は増殖中の共通の前駆細胞から生じるので、発生や修復の際には、非常によく似たJaggedリガンド(JAG1とJAG2)がNotchシグナル伝達を誘発して、これらの細胞系列の運命を決定する。このような急速に分裂を行っている集団中で細胞運命が決定される状況とは対照的に、恒常性を維持している成体気道上皮の細胞は寿命が長く、そのような条件下で活発なNotchシグナル伝達が果たす役割についてはほとんど分かっていない。哺乳類成体でのJaggedシグナル伝達を急性遮断するために、今回我々はJaggedの各パラログを選択的に標的とするアンタゴニスト抗体を作製し、結晶構造を決定して選択性を明らかにした。Jaggedを急性遮断すると、恒常的な条件下で細胞死や細胞分裂の増加なしに、クラブ細胞が迅速かつほぼ完全に消失し、同時に線毛細胞が増加することが分かった。細胞運命分析により、クラブ細胞は増殖することなく、直接に線毛細胞に転換されていることが実証され、これは直接的分化転換の古典的定義に合致している。Jaggedの阻害はまた、喘息の前臨床モデルで杯細胞の化生を元に戻すので、これは治療法の基盤となる。Jaggedの拮抗阻害が細胞間の分化転換の禁止を解除するという今回の知見により、細胞に予想外の可塑性があることが明らかになり、Notchによる分化転換の調節についてのモデルが確立された。

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