植物科学:脱水耐性のあるイネ科植物Oropetium thomaeumの単一分子塩基配列解読
Nature 527, 7579 doi: 10.1038/nature15714
植物ゲノムは通常、真核生物ゲノムが一般的にそうであるように、反復性、倍数性およびヘテロ接合性であり、このためにゲノムの組み立てが難しくなっている。初期のサンガー塩基配列解読法や現在の次世代塩基配列解読法のプラットフォームでは、読み取り塩基長が短いため、複雑な反復領域のあるゲノムの組み立てに支障が出る。また、多くの概要ゲノムや参照ゲノムは断片的で、ENCODE(Encyclopedia of DNA Elements)などのプロジェクトにより次第に重要視されるようになってきた、高GC含有領域や反復性の遺伝子間塩基配列が抜けている。今回我々は、脱水耐性のあるイネ科植物Oropetium thomaeumの全ゲノムの塩基配列解読と組み立てについて報告する。無作為に誤りが生じるが長く読み取れる( > 16キロ塩基)単一分子リアルタイム塩基配列解読法のみを用いて、このOropetiumゲノムの99%(244メガ塩基)を625のコンティグ(長さ指標N50は2.4メガ塩基)に組み立てた。Oropetiumゲノムは「ほぼ完全な」概要ゲノムの1例であり、遺伝子領域に加え、概要ゲノムでは通常組み込まれないセントロメア、テロメア、転位因子、rRNAクラスターなどの遺伝子間塩基配列もギャップなしに解読している。Oropetiumゲノムはタンパク質コード遺伝子が2万8466個あり、ゲノムの43%が反復性の塩基配列だが、ユークロマチン領域は30%以上圧縮されていて、既知の中で最小のイネ科植物ゲノムである。今回得られたOropetiumゲノムは、植物やその他の真核生物の高品質ゲノムを組み立てるのに単一分子リアルタイム塩基配列解読法が有用であることを実証するものであり、また、植物の比較ゲノミクス研究に役立つ情報資源となる。

