構造生物学:α-ケトグルタル酸依存性単核非ヘム鉄酵素によるエンドペルオキシド形成
Nature 527, 7579 doi: 10.1038/nature15519
ペルオキシ基を含む二次代謝産物はこれまでに数多くが単離され、ヒトの健康に有益な影響があることが明らかになっている。しかし大半のエンドペルオキシドは、生合成機構がよく分かっていない。いくつかの反応ではエンドペルオキシドが重要な反応中間体であることが示唆されてきたが、詳しい性質が明らかになっているエンドペルオキシド生合成酵素は、ヘム含有酵素であるプロスタグランジンHシンターゼだけである。真菌のAspergillus fumigatusに由来するフミトレモルギンB(fumitremorgin B)エンドペルオキシダーゼ(FtmOx1)は、エンドペルオキシド形成反応を触媒できるα-ケトグルタル酸依存性単核非ヘム鉄酵素として、初めて報告されたものである。今回我々はこの独特な化学変換反応の詳しい機構を知るために、FtmOx1のX線結晶構造とFtmOx1が補助基質(α-ケトグルタル酸)あるいは基質(フミトレモルギンB)と形成する二成分複合体の結晶構造を明らかにした。α-ケトグルタル酸が単核鉄中心に二座配位で結合した後で、酸素の結合と活性化のために残っている空き部位がチロシン残基(Y224)によって基質や溶媒から遮蔽されることは、この酵素に独特である。Y224をアラニンあるいはフェニルアラニンに置換すると、FtmOx1の触媒活性はエンドペルオキシド形成から、もっと広く見られる水酸化へと転換される。さらに、ストップトフロー光吸収分光法とフリーズクエンチ電子常磁性共鳴分光分析を組み合わせて調べたところ、FtmOx1の触媒過程中に一過性のラジカル種が存在することが裏付けられた。これらの結果は、このエンドペルオキシド形成反応の新規機構の解明に役立つ。

