経済学:気温が経済生産に与える全球規模の非線形的影響
Nature 527, 7577 doi: 10.1038/nature15725
気候状況が現代のヒト社会の機能に甚大な影響を与え得ることを示す証拠が集まっているが、経済活動に与える影響に一貫性は見られないように思われる。労働者や農作物などの現代経済を構成する基本的な生産的要素の局所的な気温に対する応答は、富裕国においてさえ非常に非線形的である。対照的に、富裕諸国全体のマクロ経済的総生産性は気温に応答しないと報告されているが、貧困諸国は線形的な応答のみを示す。このようなミクロの観察とマクロの観察の間の矛盾を解決することは、連動したヒト–自然系における富の役割を理解し、気候変動の全球規模の影響を予測するのに重要である。今回我々は、マクロ規模での非線形性を説明することで、これらの一見矛盾する結果を統合する。あらゆる国で総合的な経済生産性と気温との関係は非線形的で、年平均気温が13°Cで生産性が最も高くなり、それ以上気温が高くなると生産性は非常に低下することが分かった。この関係は全球規模で一般的であり、1960年から変化しておらず、富裕国でも貧困国でも農業活動および非農業活動で明白であった。これらの結果は、あらゆる地域の経済活動が全球規模の気候と連動していることを示す最初の証拠であり、気候変動に応答した経済的損失をモデル化するための新しい経験的基盤となるため、重要な意味を持つ。もし今後の適応が過去の適応と同じようであるならば、気候変動がないシナリオと比べて、2100年までに世界的な平均所得が約23%低下して世界的な所得不均衡が拡大することにより、世界経済が作り替えられるという警告が発せられることは間違いない。これまでの見積もりとは異なり、予想される全球規模の損失は全球の平均気温とほぼ線形の関係を示し、損失の中央値は主なモデルが示す値よりも数倍大きい。

