Article
環境経済学:オーストラリアには経済の成長と環境への圧力の緩和を「選ぶ自由」がある
Nature 527, 7576 doi: 10.1038/nature16065
2世紀以上にわたる経済の成長は、人類の幸福を支える生態系を明らかに圧迫してきた。こうした圧力は今も強まりつつあるとする見方に異論はないが、これをどうすれば緩和できるかに関しては意見が分かれている。技術が進歩すれば自然の成り行きとして重要な環境閾値を超えずに済むことが可能になるとする考え方や、政策を改革すれば経済的目標と生態学的目標の両立が可能だとする考え方がある一方で、社会の価値観を根本的に変えないかぎり人類の要求量を地球の生態学的限界の枠内に収めることはできないとする意見もある。今回我々は、エネルギーと水と食糧の関係、農村の土地利用(生物多様性を含む)、物質の流れ、および気候変動に関する新たな統合解析を用いて、オーストラリアにおいて人口が増加して生活水準が向上する中で強まり続ける生態学的圧力を緩和することができるかどうかを検討した。その結果、条件が整えば経済の帰結と環境の帰結の切り離し(デカップリング)が可能なことが分かった。経済成長は全てのシナリオにわたって堅調であるが、環境パフォーマンスには大きな幅があり、圧力は2050年までに2倍以上に強まる、安定化する、あるいは大幅に弱まるといった予測がなされた。しかし、デカップリングが自然と起こることを示す証拠は得られなかった。また、社会の価値観の変化が必要なことを示す証拠も見いだせなかった。むしろ、環境パフォーマンスに見られる差異の大部分は、技術を結集し、圧力の緩和を奨励するという現行政策の拡張によって説明される。今回の結果は、オーストラリアが選択次第で持続可能な繁栄に向かって大きく前進できることを示している。

