Letter
高分子化学:安全で安価な非腐食性材料を用いたポリマー系水性レドックス・フロー電池
Nature 527, 7576 doi: 10.1038/nature15746
未来の送電網で太陽光、風力、水力などの再生可能エネルギー源を効果的に利用するには、出力変動を緩和するために、柔軟性がありかつスケーラブルなエネルギー貯蔵ソリューションが必要になる。レドックス・フロー電池(RFB)は、1940年代に初めて製造され、有望な大規模エネルギー貯蔵技術と考えられている。限られた数のレドックス活性物質(主に金属塩、腐食性のハロゲン、低モル質量有機化合物)が活物質として研究され、少数の膜材料としてナフィオンなどがRFB用として検討されてきた。しかし、家庭向けや大規模使用向けのシステムの場合、特に金属資源の長期利用に関しては、エネルギー密度や容量ばかりでなく安全性と価格も考慮しなければならず、このことがリチウムイオン系RFBやバナジウム系RFBの開発の制約となっている。今回我々は、電荷貯蔵材料としての有機ポリマーと、非金属活性(巨大分子)種を保持することによってアノードとカソードを隔てる安価な透析膜と、電解質としての塩化ナトリウム水溶液を組み合わせて用いた、手頃な価格の安全でスケーラブルな電池システムについて報告する。このポリマー系水性RFBのエネルギー密度は1リットル当たり10ワット時で、電流密度は最大で1 cm2当たり100 mAであり、サイクル性能は長期的に安定している。今回提示したポリマー系RFBは、環境に優しい塩化ナトリウム溶液と安価な市販のろ過膜を、腐食性の強い酸電解質と高価な膜材料の代わりに使用している。

