Letter
細胞生物学:オートファジーは核ラミナの分解を仲介する
Nature 527, 7576 doi: 10.1038/nature15548
マクロオートファジー(以降はオートファジーとする)は、さまざまな細胞成分を分解する異化作用を持つメンブレントラフィックの過程であり、ヒト疾患と関連がある。細胞質を構成する物質のオートファジーによる代謝回転に的を絞った研究が数多くなされているにもかかわらず、核構成要素の分解にオートファジーがどのような役割を果たしているかはほとんど解明されていない。今回我々は、哺乳類でオートファジー装置が核ラミナの構成要素の分解を仲介していることを報告する。オートファジータンパク質LC3/Atg8は、オートファジーによるメンブレントラフィックや基質の送達に関与しており、核に存在して、核ラミナタンパク質のラミンB1と直接相互作用し、クロマチン上のラミナ関連ドメインに結合している。このLC3–ラミンB1の相互作用は、飢餓状態ではラミンB1の発現を低下させないが、活性化RASなどによる発がん性傷害の際にはラミンB1の分解を仲介する。ラミンB1の分解は、ラミンB1をリソソームに送達する核から細胞質への輸送により達成される。ヒト初代培養細胞で、オートファジーあるいはLC3–ラミンB1の相互作用を阻害すると、活性化RASに誘導されるラミンB1の消失が防がれ、がん遺伝子誘導性の老化が減弱する。我々の研究から、オートファジーのこの新しい機能は細胞の腫瘍発生を防ぐ防御機構として機能することが示唆される。

