がん:高リスク型の神経芽細胞種におけるゲノム再編成によるテロメラーゼの活性化
Nature 526, 7575 doi: 10.1038/nature14980
神経芽細胞腫は、交感神経系の小児悪性腫瘍である。この腫瘍のおよそ半分は自然に退縮するか、限られた治療で治癒する。一方、高リスク型の神経芽細胞腫は、多様な集中的治療を行っても臨床経過が好ましくなく、また、その分子基盤についてはほとんど分かっていない。本研究では、56例の神経芽細胞腫(高リスク型;n = 39、低リスク型;n = 17)について全ゲノム塩基配列解読を行い、テロメラーゼ逆転写酵素遺伝子(TERT)近傍の染色体領域5p15.33に影響を及ぼす頻発性のゲノム再編成を発見した。これらの再編成は高リスク型神経芽細胞腫のみで見られ(12/39;31%)、この腫瘍タイプにおける既知の遺伝的変化であるMYCNの増幅とATRX変異に対して相互に排他的であった。症例の数を増やした研究(n = 217)では、TERTの再編成は、特に転帰の悪い高リスク型腫瘍のサブグループの顕著な特徴だった。これらの再編成は、構造的に大きな多様性が見られるにもかかわらず、いずれもTERTの転写を著しく増加させた。残りの高リスク型の腫瘍では、MYCN増幅型腫瘍でもTERTの発現は上昇していたが、TERTやMYCNの変化がない神経芽細胞腫ではテロメアの選択的伸長が見られ、テロメアの伸長が、このサブタイプを特徴付ける中心的機構であることが示唆される。5p15.33の再編成によって、TERTのコード配列が強いエンハンサー配列の近傍に位置することになり、その結果、この疾患関連領域に大規模なクロマチンリモデリングとDNAメチル化が起こる。TERTの機能的役割を裏付けるように、再編成やMYCN増幅を持つ神経芽細胞腫の細胞株では、TERT発現とテロメラーゼ酵素活性がどちらも上昇していた。今回の知見をまとめると、高リスク型の神経芽細胞腫では、ゲノム状況のリモデリングによりTERTの転写サイレンシングが解除されており、この腫瘍の大部分でテロメラーゼ活性が形質転換の中心的役割を果たしていることが示唆される。

