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がん:逆説的MAPK経路活性化を回避するRAF阻害剤
Nature 526, 7574 doi: 10.1038/nature14982
BRAFの発がん性活性化は、RAS非依存的マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路シグナル伝達の恒常的促進によりがん増殖を促がす。そのため、RAF阻害剤は転移性黒色腫の個別化治療にかなりの改善をもたらしてきた。しかし、こうした標的化化合物は特定のがんの増殖の誘発という予想外の結果ももたらすことが分かった。構造的に多様なATP競合的RAF阻害剤は、活性化がBRAF変異によるのか、またはRAS変異あるいは受容体チロシンキナーゼ活性化などの上流のイベントによるのかによって、MAPK経路を阻害あるいは逆説的に活性化する可能性がある。今回我々は、上流の活性化がある細胞でMAPK経路を活性化することなしに変異BRAF細胞を抑制する次世代型RAF阻害剤[「パラドックスブレーカー(paradox breaker)」と名付ける]を見いだした。RAF阻害剤で治療された患者の扁平上皮腫瘍でよく見られるのと同じ変異型HRASを発現する細胞で、第1世代RAF阻害剤ベムラフェニブはin vitroおよびin vivoで増殖を誘発し、MAPK経路応答遺伝子の発現を誘導した。それとは対照的に、パラドックスブレーカーPLX7904とPLX8394は影響を示さなかった。パラドックスブレーカーはまた、第1世代RAF阻害剤に対する耐性の既知の機構のいくつかを克服した。逆説的活性化をMAPK経路阻害と切り離すことによって第1世代RAF阻害剤よりも安全性が向上し、効果の持続時間が長くなる可能性があり、この概念はPLX8394を用いたヒトでの臨床評価が進行中である。

