Letter

気候科学:将来の海水準上昇に対する数千年間の南極の関与

Nature 526, 7573 doi: 10.1038/nature15706

大気の温暖化によって、今世紀の終わりまでに全球平均地表気温が産業革命以前より0.3~4.8°C高くなると予測されている。人為的な排出が抑制されないままであれば、温暖化による気温上昇は2300年までに8~10°Cに達する可能性がある。そうした温暖化シナリオの下での、大きな氷床の海水準上昇への寄与は、氷床の平衡応答の時間スケールが大気や海より長いため、定量化が難しい。本論文では、氷床棚氷結合モデルを用いて、大気の温暖化が現在より1.5~2°C大きくなれば、南極の主な棚氷の崩壊がきっかけとなって、粘性流が増大して海水準に対して長期的に関与する(寄与を止められない)という、百年から千年スケールの南極氷床の応答が生じることを示す。今回のシミュレーション結果は、気候変動に関する政府間パネル第5次評価報告書の4つの代表的濃度経路(RCP)の海洋変動と気候変動に対する、現在の南極の氷床系の応答を示している。我々は、RCP 2.6の水準に温室効果ガスの排出を制限すれば、南極の氷の減少をかなり防ぐことができることを見いだした。排出量がより多いシナリオでは、南極の氷の減少によって2300年までに0.6~3 m海水準が上昇すると考えられる。今回の結果は、今後数十年間の温室効果ガスの排出量が、全球の海水準に対する南極氷床の長期的な寄与に大きな影響を及ぼすであろうことを示唆している。

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