生体材料:新しい二次構造モチーフを示すペプトイドナノシート
Nature 526, 7573 doi: 10.1038/nature15363
分子認識や触媒作用などの複雑な機能を発揮できるタンパク質模倣材料を合成する有望な手段が、配列で定義されるペプトイドポリマー(生体内で生成されるポリペプチドの構造類縁体)によってもたらされる。ペプトイドは、比較的毒性が低くて、劣化しにくく、配列依存性の相互作用の組み合わせによって折りたたまれ、明確な構造を形成できる。しかし、ペプトイドなどの生体模倣物質がとり得る構造の範囲は分かっておらず、こうした種類のポリマーからタンパク質様構造を設計する我々の能力には限界がある。今回我々は、散乱データと顕微鏡データと共に分子動力学シミュレーションを用いて、最近発見されたペプトイドナノシート(二次元方向にのみ巨視的に広がった規則性超分子集合体)の構造を原子分解能で決定する。今回のシミュレーション結果から、ナノシートが構造的かつ動的に不均一であり、特定の長さのペプトイドからしか形成できず、水やイオンを通す可能性があることが示された。さらに、ナノシートの形成は、ペプトイドが自然界に見られない二次構造をとることによって可能になる。この二次構造は、我々がΣ(「シグマ」)ストランドと呼ぶジグザグパターンであり、隣接する骨格モノマーが反対の回転状態をとり得ることから生じるため、骨格はねじれのない直線状を維持できる。直線状骨格は、レンガのように並んでおり、広い二次元ナノ構造体(Σシート)を形成する。こうしたΣストランドの2成分の回転状態モチーフは、通常1種類の回転状態から構築される規則的なタンパク質構造体には見られない。我々はまた、複数の回転状態から規則的な構造体を構築するという概念を、ペプトイドナノシート系の枠を超えて一般化できることも示す。

