神経科学:延髄腹側部のGABA作動性ニューロンによるREM睡眠の制御
Nature 526, 7573 doi: 10.1038/nature14979
急速眼球運動(REM)睡眠は、活発な脳波と骨格筋の完全な無力状態を特徴とする独特の脳状態で、鮮明な夢と関連がある。Jouvetによる横断的研究から、脳幹がREM睡眠の発生に必要かつ十分であることが初めて実証され、それ以来、橋の神経回路が詳細に研究されている。また、延髄もREM睡眠中に活動するニューロンを含むが、それらがREM睡眠発生の原因となる役割を担っているかどうかは分かっていない。今回我々は、マウスで、延髄腹側部から起こるGABA作動性(γアミノ酪酸放出)経路がREM睡眠を強力に促進することを示す。延髄腹側部のGABA作動性ニューロンを光遺伝学的に活性化すると、REM睡眠のエピソードが迅速かつ確実に開始し、その持続時間が延長したが、一方これらのニューロンを不活化すると、逆の効果が示された。チャネルロドプシン2で標識した延髄腹側部GABA作動性ニューロンのオプトロードによる記録から、これらのニューロンがREM睡眠中に最も活性化しており(REMmax)、覚醒時には、採餌中や毛づくろい中に選択的に活性化されることも分かった。さらに、二重逆行性追跡法から、橋や中脳への頭側投射および脊髄への尾側投射は別個の延髄腹側部ニューロン集団から起こることが示された。頭側GABA作動性投射の活性化はREM睡眠の誘導および維持の両方に十分であり、これはおそらく中脳水道周囲灰白質腹外側部のREMを抑制するGABA作動性ニューロンの抑制により一部仲介されている。これらの結果から、REM睡眠を制御する橋延髄ネットワークの重要な構成要素が明らかになった。指令によりREM睡眠を誘導できれば、その機能を調べるための強力なツールになるかもしれない。

