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神経科学:Gli1の阻害は内因性神経幹細胞を髄鞘再形成に動員する
Nature 526, 7573 doi: 10.1038/nature14957
多くの神経疾患で、髄鞘(ミエリン鞘)の修復促進は重要だがまだ実現が難しい治療目標となっている。炎症性脱髄疾患である多発性硬化症では、内因性の髄鞘再形成は起こるものの、機能を回復するには不十分であることが多い。脳室下帯に常在する実質性のオリゴデンドロサイト前駆細胞と、内因性の成体神経幹細胞はどちらも、髄鞘再形成を行う細胞の供給源であることが知られている。本研究では、ソニックヘッジホッグ経路の転写エフェクターであるGli1の発現により識別される成体神経幹細胞のサブセットが、髄鞘再形成に関わっていることを明らかにする。このような細胞は脳室下帯から導かれ、前脳の髄鞘が脱落した傷害部位に定着するが、健常な白質路には全く進入しないことが分かった。予想外にも、この神経幹細胞プールの誘導とオリゴデンドロサイトへの分化は、遺伝学的あるいは薬理学的な方法によるGli1の阻害によって大幅に亢進される。カノニカル・ヘッジホッグシグナル伝達を完全に阻害しても影響がないことは重要であり、ヘッジホッグシグナル伝達の増強と髄鞘形成遅延の両方にGli1が果たす役割が特殊化したものであることを示している。Gli1を阻害すると、実験的自己免疫性脳脊髄炎の再発寛解型モデルで実際に機能転帰が改善され、阻害が神経保護的に働くことが分かった。従って、内因性の神経幹細胞はGli1の阻害によって脱髄損傷部の修復に動員することが可能であり、この結果は脱髄疾患治療のための新たな治療戦略を明らかにしている。

