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分子神経科学:η-セクレターゼによるAPPのプロセシングは海馬でのニューロンの活動を阻害する

Nature 526, 7573 doi: 10.1038/nature14864

アルツハイマー病(AD)はアミロイド斑の沈着が特徴で、この斑は主としてアミロイドβペプチドから構成されている。前駆体であるアミロイドβ前駆体タンパク質(APP)からのアミロイドβの生成では、生成を阻害、あるいは促進する2つの主要な生理的経路が競合的に働いている。APPのプロセシングは非常に詳しく調べられているが、まだ知られていないタンパク質分解過程があって、これがin vivoでのAPP代謝の化学量論的解析を妨げているらしい。今回我々は、新しい生理的APPプロセシング経路を明らかにし、これによって海馬でのニューロンの活動を阻害する活性を持つタンパク質分解断片が生じることを報告する。APPからは、CTF(carboxy-terminal fragment)-αとCTF-βが、それぞれα-セクレターゼのADAM10(a disintegrin and metalloproteinase 10)とβ-セクレターゼのBACE1(β-site APP cleaving enzyme 1)によって生じることは以前から知られているが、これらに加えて、もっと分子量の大きいCTFがAPPから生じることを我々は突き止め、CTF-ηと命名した。CTF-ηの生成の一部を担うのはMT5-MMPなどの膜結合性マトリックスメタロプロテアーゼで、これがη-セクレターゼ活性に当たる。η-セクレターゼによる分解は主としてAPP695のアミノ酸504–505の箇所で起こり、短縮型の細胞外ドメインが遊離する。この細胞外ドメインの切り離しの後、CTF-ηはさらにADAM10とBACE1によるプロセシングを受け、長いAηペプチド(Aη-αと命名)と短いAηペプチド(Aη-βと命名)が放出される。η-セクレターゼによって生じるCTFは、ADマウスモデルとヒトAD患者の脳の変性神経突起に集中的に存在する。BACE1活性を遺伝学的、薬理学的に阻害すると、CTF-ηとAη-αの蓄積増加が見られるようになる。強力なBACE1阻害剤を投与したマウスでは、海馬の長期増強が低下した。注目すべきことに、ex vivoで海馬切片に組換えAη-αもしくは合成Aη-αを加えると、長期増強が低下した。さらに、in vivoでの単一細胞2光子カルシウム画像化により、海馬ニューロンの活動がAη-αによって弱まることが明らかになった。これらの知見は、機能に関わる重要なAPPプロセシング経路を明らかにしただけでなく、APPプロセシング過程を標的とする治療戦略のトランスレーショナル研究にも重要な意味を持つ可能性がある。

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