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構造生物学:グルコース輸送体によるリガンド認識と輸送の分子基盤
Nature 526, 7573 doi: 10.1038/nature14655
ヒトGLUT1–4が含まれるMFS(major facilitator superfamily)グルコース輸送体は、溶質輸送研究の中心である。脂質キュービックフェーズ結晶化とマイクロフォーカスX線結晶構造解析を用いて、我々はD-グルコースと結合して細胞の外を向いた閉状態のコンホメーションにあるヒトGLUT3の構造を1.5 Å分解能で決定した。その高分解能構造により、D-グルコースのα-アノマーとβ-アノマーそれぞれの配位構造の識別が可能となった。さらに細胞外表面の阻害剤であるマルトースと結合したGLUT3の2種類の構造が、外向き開状態では2.6 Å分解能で、外向き閉状態は2.4 Å分解能で得られた。これら3つの構造の全てで、リガンドは主にカルボキシ末端ドメインの極性残基に配位している。外向き開状態から外向き閉状態へのコンホメーション変化は、主に膜貫通セグメントTM7の細胞外部分の局所的な再配置により引き起こされている。外向きのGLUT3の構造と内向き開状態のGLUT1の構造の比較から、カルボキシ末端ドメインが主な基質結合部位を構成し、アミノ末端ドメインがカルボキシ末端ドメインに対して剛体回転を行う、GLUTの交互アクセスサイクルに関する手掛かりが得られる。我々の研究により、GLUTの溶質輸送機構と運動に関する理解への重要な枠組みが与えられ、構造を基にしたリガンド設計へのヒントが与えられる。

