Letter

核物理学:陽子に対する反陽子の電荷質量比の高精度比較

Nature 524, 7564 doi: 10.1038/nature14861

荷電、パリティ、時間反転(CPT)変換の下での不変性は、素粒子物理学の標準模型の基本的な対称性の1つである。このCPT不変性は、反粒子とそれと対をなす粒子の基本的な性質が、符号は別にして同一であることを意味する。モデルに依存するものの、CPT不変性とローレンツ対称性には深い関係がある。すなわち、自然の法則は時空の対称性変換の下で不変であるように見える。複数の高精度なCPT不変性とローレンツ不変性の検証は、共存磁力計、ねじり振り子、メーザーなどを使って行われてきたが、物質と反物質の基本的な性質を直接比較した高精度のCPT検証はほんの数例しかない。今回我々は、ペニングトラップを用い、1個の反陽子と1個の負に帯電した水素イオン(H)のサイクロトロン周波数を高精度で比較した結果を報告する。1万3000回の周波数測定から、反陽子の電荷質量比(q/m) p‾を陽子の電荷質量比(q/m)pと比較し、(q/m) p‾/(q/m)p−1 = 1(69) × 10−12を得た。本測定のサイクロトロン周波数は29.6 MHzであるので、今回の結果は、CPT定理がアト電子ボルトスケールで成立することを示している。この1兆分の69という精度は、以前行われた陽子に対する反陽子の質量比較のエネルギー分解能と、標準模型拡張理論の関係する性能指数を4倍上回っている。また、ここで得た測定比は、恒星時変化が1兆分の720以下であることも明らかにした。参考文献11の議論に従うと、今回の結果は、バリオン反物質を使った、一般相対論の弱い等価原理を厳密に検証したものと解釈でき、重力異常パラメーター|αg−1|が8.7 × 10−7以下であるという新しい限界を与えた。

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