細胞生物学:CREBコアクチベーターであるCRTC2はSREBP1の調節により肝臓脂質代謝を制御している
Nature 524, 7564 doi: 10.1038/nature14557
肝臓でのトリグリセリドの異常蓄積はde novo脂質生合成の増加などが原因で、非アルコール性脂肪性肝疾患やインスリン抵抗性を引き起こす。SREBP1(sterol regulatory element-binding protein 1)は脂質生合成の重要な転写調節因子で、小胞体に結合する不活性な前駆体として合成される。SREBP1は、インスリンシグナル伝達に応答して小胞体からゴルジ体へとCOPIIに依存する形で運ばれ、ゴルジ体内でプロテアーゼによるプロセシングを受け、その後、核へと輸送されて脂質生合成に関わる遺伝子の発現を誘導する。しかし、インスリン抵抗性の肥満や糖尿病でSREBP1活性が上昇する仕組みは不明のままであった。今回我々はマウスを使って、CRTC2(CREB regulated transcription coactivator 2)がmTORシグナル伝達のメディエーターとして機能し、COPIIに依存するSREBP1プロセシングを調整することを示す。CRTC2は、COPII複合体のサブユニットの1つであるSec23Aと競合して、また別のCOPIIサブユニットであるSec31Aに結合し、それによってSREBP1の輸送を妨害する。摂食中はmTORがCRTC2をリン酸化して、COPIIに依存するSREBP1成熟に対する抑制作用を減弱している。肥満マウスの肝臓でmTORの影響を受けない変異型CRTC2を過剰発現させると、脂質生合成プログラムやインスリン感受性が改善した。こうした結果は転写コアクチベーターであるCRTC2が摂食状態や肥満で見られるmTORを介した脂質恒常性を制御する仕組みを明らかにしている。

