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構造生物学:哺乳類のステアロイルCoAデサチュラーゼのX線構造

Nature 524, 7564 doi: 10.1038/nature14549

ステアロイルCoAデサチュラーゼ(SCD)は全ての真核生物で保存されており、飽和脂肪酸アシルCoAへ最初の二重結合を導入する。SCDのモノ不飽和生成物は、膜リン脂質やコレステロールエステル、トリグリセリドの重要な前駆体なので、SCDは脂肪酸代謝に極めて重要である。ヒトはSCDホモログを2つ(SCD1とSCD5)持っているのに対し、マウスは4つ(SCD1–SCD4)を持っている。SCD1欠損マウスは、高脂肪食を与えても肥満や糖尿病にならない。それは脂質代謝プロファイルやインスリン感受性が改善されるからである。従って、SCD1は肥満や糖尿病などの代謝性疾患の治療で薬理学的標的となっている。SCD1は小胞体に局在する内在性膜タンパク質で、ステアロイルCoAあるいはパルミトイルCoAの9番目と10番目の炭素の間のシス二重結合形成を触媒する。この反応には、二鉄中心により活性化される分子状酸素と、二鉄中心を再生するシトクロムb5を必要とする。SCD機能のこれらの特徴の構造学的基盤の解明を進めるため、今回我々は、ステアロイルCoAに結合したマウスSCD1を結晶化し、分解能2.6 Åで構造を解いた。得られた構造から、4本の膜貫通ヘリックスからなり、細胞質側のドメインにより蓋をされた形の新規な折りたたみと、側方からの基質の接近と生成物送出に使われると考えられる経路が明らかになった。結合したステアロイルCoAのアシル鎖は、細胞質ドメインに埋まっているトンネル中に入っており、トンネルの配置と結合したアシル鎖のコンホメーションから、不飽和化反応の位置選択性や立体特異性の構造学的基盤が与えられる。二金属中心には、9個の保存されたヒスチジン残基が空間的に独特な配置をとって配位しており、これは酸素活性化の新規な機構を示唆している可能性がある。この構造はまた、シトクロムb5から二鉄中心への電子伝達経路と考えられる道筋を明らかにしている。

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