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植物育種:オオムギのSUSIBA2転写因子を発現させると高デンプン・低メタン放出のイネができる

Nature 523, 7562 doi: 10.1038/nature14673

大気中のメタンは二酸化炭素に次いで2番目に重要な温室効果ガスであり、産業革命以前の時代から地球温暖化の影響の約20%に関与している。水田は最大の人為的メタン源であり、大気中メタンの7~17%を生み出している。温かい湛水土壌とイネの根から滲出する栄養素は、メタン生成に理想的な条件となっており、こうした水田からは年間2500万~1億トンのメタンが放出されている。このシナリオは、今後数十年の食糧需要を満たすために必要な稲作の拡大によってさらに悪化するだろう。イネの生産量を増加させつつ水田からのメタン放出量を減少させるための持続可能な技術を早急に確立する必要がある。しかし、水田で現在進められているメタン放出量低減の取り組みは、主に実践が難しい農耕技術や方策に基づいたものである。イネの生産力を高め、メタン放出量を減らす戦略が提案されているにもかかわらず、高デンプン・低メタン放出のイネはまだ作出されていない。今回我々は、オオムギのSUSIBA2という単一の転写因子遺伝子をイネに導入することで、炭素フラックスの変化がSUSIBA2イネにもたらされ、光合成産物が根よりも地上部バイオマスへより多く分配されるようになることを示す。こうした分配の変化が、バイオマスの増加および種子や茎におけるデンプン含量の増加につながり、また、おそらく根からの滲出を低減させて、メタン生成を抑制した。中国で3年間にわたり行われた圃場試験から、SUSIBA2イネの栽培がメタン放出量の有意な減少および根圏のメタン生成菌レベルの減少と関連することが示された。SUSIBA2イネは、食糧生産のためのデンプン含量増加を実現しながら、イネ栽培による温室効果ガスの放出量も削減するという、持続可能な手段の1つを示している。SUSIBA2イネが示すような、イネの生産力を高めつつメタン放出量を削減するという取り組み方は、気温が上昇して水田からのメタン放出量の増加がもたらされる将来の気候において特に有益だと考えられる。

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