Letter
高分子化学:ポリマーナノ複合材料で作られたフレキシブル高温誘電体材料
Nature 523, 7562 doi: 10.1038/nature14647
静電的にエネルギーを蓄積する誘電体材料は、先進的なエレクトロニクスや電力システムに広く使用されている。セラミック誘電体と比べると、ポリマー誘電体は、絶縁破壊強度と信頼性がより高く、スケーラブルで軽量であり、複雑な形状に成形できるため、パワーエレクトロニクス、電力調整、パルス電力への多くの応用に理想的な選択肢である。しかし、ポリマー誘電体は、動作温度が比較的低い用途に限られるため、ハイブリッド車や電気自動車、航空宇宙用パワーエレクトロニクス、石油やガスの地中探査などの応用に見られる厳しい条件下での電力需要の増加に応えることができない。今回我々は、広い温度と周波数の範囲にわたって誘電特性が安定している窒化ホウ素ナノシートを含有する架橋ポリマーナノ複合材料について報告する。このナノ複合材料は、これまでで最高の温度で優れた高電圧容量性エネルギー蓄積能を示す(250°Cで、ワイブル絶縁破壊強度403 MV/m、放電エネルギー密度1.8 J/cm3)。また、この材料の電気伝導度は、既存のポリマー誘電体より数桁低い。この材料の動作温度の高さは、もともと熱暴走を起こしやすい純粋なポリマーと比べて熱を放散しやすい窒化ホウ素が存在することによって、熱伝導度が大幅に上昇することに起因する。さらに、このポリマーナノ複合材料は、軽量かつ光パターニングが可能で、機械的に柔軟であり、集中的な曲げサイクルを繰り返した後も優れた誘電性能と容量性能を維持することが実証されている。これらの知見により、高温エレクトロニクスやエネルギー蓄積デバイスにおける有機材料の応用がさらに広がる可能性がある。

