分子生物学:RNAポリメラーゼII伸長複合体による5-カルボキシシトシン認識の分子基盤
Nature 523, 7562 doi: 10.1038/nature14482
選択されたシトシン残基に対するDNAメチル化[5-メチルシトシン(5mC)]とTETが介在するDNA脱メチル化によるその除去は、初期胚発生の際に多能性状態を準備するのに不可欠である。TET酵素は、5mCを5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)から5-ホルミルシトシン(5fC)、さらに5-カルボキシシトシン(5caC)へと連続的に変換し、5fCと5caCは、チミンDNAグリコシラーゼ(TDG)の基質となって塩基除去修復に伴って除去される。これまでの報告では、エンハンサー、プロモーター、遺伝子本体上にある5fCと5caCは安定的に検出され、遺伝子発現にそれぞれ異なった影響を与える可能性が示されているが、その機序はまだ明らかになっていない。今回我々は、酵母の伸長中のRNAポリメラーゼII(Pol II)について、酸化型5mCを含む鋳型DNAと複合体を形成した状態のX線結晶構造を決定し、5caCの5-カルボキシ基とポリメラーゼの保存されたエピDNA認識ループとの間に特異的な水素結合があることを明らかにした。この水素結合が、取り込まれてくるヌクレオシド5′-三リン酸(NTP)の位置をずらし、その結果ヌクレオチド付加が妨げられる。この構造的知見がin vivoで持つ意味を調べるために、5fC/5caCレベルの上昇が転写に与える全体的な影響を調べたところ、このようなDNA修飾が実際に、遺伝子本体のPol IIによる伸長を遅らせることが明らかになった。これらの結果は、酸化型5mCが遺伝子発現に与える機能的影響を明確に示しており、転写伸長中に直接的な特異的エピジェネティックセンサーとして働くという、Pol IIの新しい役割を示唆している。

