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植物科学:拮抗関係にあるペプチドの競争的結合が気孔の分布パターン形成を微調整している
Nature 522, 7557 doi: 10.1038/nature14561
発生の過程で、細胞は複雑で矛盾することの多いシグナルを解釈して最適な決定を下す。植物の気孔は、植物体と外気の間の境界となる細胞であって、位置に関わる合図に従って発生する。こうした合図にはEPF(epidermal patterning factor)と呼ばれる分泌型ペプチドファミリーが含まれている。このようなシグナル伝達ペプチドが分子レベルで協調してパターン形成を行う仕組みは未解明であった。今回我々は、シロイヌナズナ(Arabidopsis)では気孔形成を促進するペプチドのストマジェン(Stomagen;別名EPF-LIKE9)がERECTA(ER)ファミリーの受容体キナーゼを必要とし、EPF2(EPIDERMAL PATTERNING FACTOR 2)–ERモジュールによる気孔形成阻害を妨げることを示す。EPF2とストマジェンは共に、ERおよびその共受容体であるTOO MANY MOUTHSと直接結合する。ストマジェンペプチドはEPF2と競合し、EPF2に取って代わってERへと結合する。さらに、EPF2の投与はin vivoで下流のシグナル伝達成分の迅速なリン酸化を引き起こすが、ストマジェンではリン酸化は起こらない。今回得られた知見は、植物表皮で、植物の受容体に対するアゴニストとアンタゴニストが抑制性と促進性の合図を規定することで植物表皮での組織パターン形成を微調整する仕組みを明らかにしている。

