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幹細胞:PPAR-αおよびグルココルチコイド受容体は相乗的に赤芽球系前駆細胞の自己複製を促進する

Nature 522, 7557 doi: 10.1038/nature14326

溶血、敗血症、そしてダイアモンド・ブラックファン貧血をはじめとする遺伝性骨髄不全症など、多くの急性および慢性の貧血は、エリスロポエチン(Epo)では治療できない。これは、Epoに応答するCFU-E(colony-forming unit erythroid progenitor)の数が少な過ぎるか、あるいはCFU-EのEpoに対する感受性が十分ではないため、十分な赤血球産生を維持できないからである。このような貧血の治療には、赤血球形成のより早期段階に作用する薬剤や、CFU-EのEpo感受性前駆細胞の形成を高める薬剤が必要である。最近我々は、グルココルチコイドが、前期赤芽球系前駆細胞の1つであるBFU-E(burst-forming unit erythroid)の自己複製を特異的に誘発すること、そして、最終分化した赤芽球系細胞の産生を増加させることを明らかにした。今回我々は、ペルオキシソーム増殖活性化受容体α(PPAR-α)アゴニストのGW7647やフェノフィブラートによるPPAR-αの活性化が、グルココルチコイド受容体(GR)との相乗作用により、BFU-Eの自己複製を促進することを示す。これらのアゴニストは、マウス胎仔肝BFU-Eの培養および動員されたヒト成体のCD34+末梢血前駆細胞の培養(ヒト細胞の場合は、正常な脱核網状赤血球を作り出す新しい効率的な培養系を用いた)の両方で、時間の経過とともに成熟赤血球の産生を大きく増加させた。Ppara−/−マウスは、正常な赤血球形成でも、フェニルヒドラジン(PHZ)誘発性ストレス下での赤血球形成でも、野生型マウスと血液学的な差異を示さなかったものの、PPAR-αアゴニストは、PHZ誘発性急性溶血性貧血からの回復を野生型マウスでは促進したが、Ppara−/−マウスでは促進しなかった。また、PPAR-αは慢性貧血のマウスモデルで貧血を緩和することが分かった。さらに、対照BFU-Eおよびコルチコステロイド処理を行ったBFU-Eの両方で、PPAR-αはGRと共に多くのクロマチン部位を占有している。つまり、PPAR-αアゴニストによって活性化されると、さらにPPAR-αがGRに隣接する部位に動員され、おそらくGR依存的なBFU-Eの自己複製が促進されると考えられる。今回、PPAR-αアゴニストが、前期赤芽球系前駆細胞の自己複製の促進に関与することが明らかになり、Epo抵抗性貧血の治療において我々が用いた臨床試験済みのPPAR-αアゴニストがコルチコステロイドの効果を改善する可能性が示唆された。

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