細胞生物学:部位選択的に標識され、モザイク状構成を持つRNAの合成と応用
Nature 522, 7556 doi: 10.1038/nature14352
RNA分子の構造と動態に関する知見は、RNAが持つ多くの生物学的機能を理解するために非常に重要である。また、合成RNAは治療薬や分子センサーとして応用されている。RNAの研究および技術応用は、修飾、あるいは標識されたヌクレオチドの、RNA内の特定の位置や領域への組み込みを可能にする方法によって劇的に向上するだろう。しかし、既存の方法では、このようなRNAを数十ミリグラムスケールで合成することは不可能であった。本研究では、部位選択的標識を持つRNAを合成するために、固相–液相ハイブリッド転写法と、自動化したロボットプラットフォームを開発した。我々は、アデニンリボスイッチの71ヌクレオチドのアプタマードメインのさまざまな同位体標識[核磁気共鳴(NMR)分光法用]または蛍光標識(蛍光共鳴エネルギー移動用)バージョンの作製に成功し、この手法が有用であることを示した。これらのRNA分子には、特定のループやリンカー、ヘリックス、複数の分離した部位、あるいは単一の内部部位が選択的に同位体標識されたものや、キッシングループ(kissing loop)の内部や近傍が蛍光標識されたRNA分子が含まれる。選択的に標識されたこうしたRNAの折りたたみは、従来法によって転写されたものと同じであるが、NMRスペクトルの解釈は非常に容易になっている。単一部位を同位体および蛍光で標識したRNAサンプルによって、アデニンリボスイッチの複数のコンホメーション状態が明らかになった。最後に、この技術を自動化するロボットプラットフォームと、その操作法について述べる。我々の選択的標識法は、RNAの構造と動態の研究に有用であり、また、細胞生物学研究や物質検出、疾患の診断などのさまざまな用途に用いるRNAセンサーの作製にも有用であろう。

