Letter

古生物学:前期デボン紀のステム顎口類に見られる硬骨魚類様の頭蓋状態

Nature 520, 7545 doi: 10.1038/nature14065

シルル紀およびデボン紀(4億4300万~3億5800万年前)の魚類の系統発生は依然として、現生顎口類(有顎脊椎動物)の起源に関する研究における最大の課題である。核心的な問題の1つは、現生有顎脊椎動物の最終共通祖先の形態に関するもので、軟骨魚類様のモデルを提唱する仮説と硬骨魚類様のモデルを提唱する仮説とが対立している。本論文では、シベリア産の前期デボン紀(約4億1500万年前)の顎口類化石で新属新種のJanusiscus schultzeiについて報告する。この化石はこれまで条鰭類魚類と考えられていたもので、軟骨魚類と硬骨魚類の最終共通祖先に近い頭蓋構造に関する重要な新情報をもたらす。Janusiscusの頭蓋冠は初期の硬骨魚類のものに近く、蠕虫状の隆線を有する大型の板や部分的に閉じた感覚管が認められる。高分解能のコンピューター断層撮影(CT)によって明らかになった脳頭蓋には、複数の内頸動脈が収まる大きな下垂体孔(hypophyseal opening)などの軟骨魚類に典型的な特徴や、頸静脈管(jugular canal)を通って出る顔面神経および頭蓋冠の後方に出る内リンパ管などの硬骨魚類に典型的な特徴が認められたが、クラウン顎口類の派生的な特徴と考えられている腹側の頭蓋裂溝(ventral cranial fissure)の存在は認められなかった。Janusiscusの十分に発達した頭蓋突起の結合は、初期有顎脊椎動物の神経頭蓋の比較解剖学をまとめる上で役立ち、「板皮類」、硬骨魚類および軟骨魚類の基本的な相同性を明確化する。系統発生解析から、軟骨魚類の「棘魚類」との類似性がさらに裏付けられ、Janusiscusと謎の多いRamirosuareziaはクラウン顎口類と多分岐の関係にある系統として位置付けられた。Janusiscusと硬骨魚類の頭蓋冠の間に見られる密接な対応は、有顎脊椎動物の最終共通祖先に広範囲の皮膚骨格が存在したことを示唆するが、Ramirosuareziaの構造が明確でないため不確実性が生じる。Janusiscusの内骨格構造と、一見すると硬骨魚類に似ているその皮膚骨格との意外なコントラストは、現生顎口類の出現付近の形質進化パターンを再構築する上で、シルル紀およびデボン紀のまだ十分に解明されていない他の「硬骨魚類」が重要である可能性を強調している。

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