遺伝学:エキソーム塩基配列解読により明らかになった心筋梗塞リスクをもたらすまれなLDLRとAPOA5対立遺伝子
Nature 518, 7537 doi: 10.1038/nature13917
世界の主要な死因の1つである心筋梗塞(MI)は、複雑な遺伝パターンを示す。MIが若年期に起こる場合、遺伝がリスクの主要因である。以前に、低比重リポタンパク質(LDL)遺伝子のまれな変異が個々の家系でMIリスクとして関与することが示されており、一方で、一般集団では45以上の遺伝子座の一般的な多様体がMIリスクに関連付けられている。今回我々は、まれな変異が一般集団で早期発症MIリスクにどのように関与するかを検討するため、早期(男性は50歳以下、女性は60歳以下)にMIを発症した患者およびMIのない対照群、計9793人のゲノムでタンパク質コード領域の塩基配列を解読した。対照群に比べてMI症例では、まれなコード配列変異が全エキソーム規模で有意に多い2つの遺伝子が明らかになった。低比重リポタンパク質受容体(LDLR)では、まれな非同義変異キャリアーはMIリスクが4.2倍上昇し、LDLRのヌル対立遺伝子のキャリアーはリスクがさらに高かった(13倍)。早期発症MI症例のおよそ2%が、まれな機能障害性のLDLR変異を有しており、この概算値は40年以上前に総コレステロールの解析を用いて行われた推定と類似する。対照群では、LDLRコード配列の変異を持つのは217人に1人で、血漿LDLコレステロールは > 190 mg dl−1であった。アポリポタンパク質A-V(APOA5)では、まれな非同義の変異キャリアーはMIリスクが2.2倍高かった。非キャリアーと比べると、LDLR変異キャリアーは血漿LDLコレステロールが高く、一方APOA5変異キャリアーは血漿トリグリセリドが高かった。最近の証拠では、機能的にAPOA5と関連する2つの遺伝子、リポタンパク質リパーゼとアポリポタンパク質C-IIIのコード配列の変異がMIリスクと関連付けられている。総合すると、これらの結果からLDLコレステロールと共に、トリグリセリドが豊富なリポタンパク質の代謝異常がMIリスクに寄与することが示唆される。

