Letter
大気科学:ヒドロキシルラジカルの南北半球間の均一性に関する観測的証拠
Nature 513, 7517 doi: 10.1038/nature13721
ヒドロキシルラジカル(OH)は、大気中における汚染物質や温室効果ガスの除去過程に関係する重要なオキシダントである。OHの大気中濃度の北半球と南半球の比(NH/SH比)は、窒素酸化物やメタンなどの大気微量成分の排出量の見積もりを理解するのに重要である。しかし、OHのNH/SH比はこれまで0.85から1.4の範囲にあると見積もられているが、まだ十分絞り込まれていない。本論文では、メチルクロロホルムの観測データ(OH濃度の代理指標)、および南北半球間の輸送と地表排出量を正確に取り扱う大気輸送モデルを用いてOHのNH/SH比を決定する。我々は、2004~2011年の期間についてモデルが年平均したメチルクロロホルム南北濃度勾配の観測結果を再現していること、およびメチルクロロホルム南北濃度勾配がモデルにおける年平均したOHのNH/SH比と線形関数でよく一致していることを見いだした。その上で、モデルにおける全球総排出量と全球平均OH濃度を最適化し、2つの地表観測ネットワークと航空機観測キャンペーンから得られたメチルクロロホルムの観測データと組み合わせることにより、この期間におけるOHのNH/SH比を0.97 ± 0.12と見積もった。この発見は、OHのNH/SH比1以上として推定した、これまでのトップダウン手法による北半球の主要な排出国における窒素酸化物などの反応性大気微量成分の排出量の見積もりが過大評価となっている可能性を示唆している。

