Letter

気候:南極の寒冷反転期における熱帯アンデス山脈の氷河の大前進

Nature 513, 7517 doi: 10.1038/nature13546

ヤンガードライアス亜氷期は、最終退氷期中の、1万2800年~1万1500年前の寒冷事象で、熱帯アンデス山脈における最後の大きな氷河再前進と同時に起こったと考えられている。この解釈は、主に氷河堆積物の宇宙線照射年代測定に依存している。しかし、最近の研究によって、宇宙線由来の10Beと3Heの新たな生成速度が確立され、熱帯アンデス山脈の全ての編年を更新し、気候変動に対する雪氷圏の応答についての理解を改める必要がでてきた。今回我々は、コロンビアのモレーンの新たな10Be年代を提示し、ヤンガードライアス期より、1万4500~1万2900年前の南極の寒冷反転期に熱帯アンデス山脈北部の氷河がより広い地域へ拡大したことを示す。我々は、熱帯アンデス山脈全域のモレーンの10Be年代と3He年代の統一された編年に基づいて、このふるまいが熱帯アンデス山脈の北部と南部に共通していたことを示す。全球結合気候モデルを用いた過渡シミュレーションによって、大西洋の南北方向の鉛直循環の変動と退氷によって生じた大気中二酸化炭素濃度の増加が重ね合わさって、共通する氷河のふるまいが生じたことが示唆されている。南極の寒冷反転期において、氷河は主に南半球のほぼ全域にわたる低い海面水温に応答して前進した。しかし、ヤンガードライアス期においては、大西洋の南北方向の鉛直循環が弱まったことで生じた、降水量の減少と陸面フィードバックに応答した急激な局地的温暖化によって、熱帯アンデス山脈北部の氷河は後退した。逆に、ヤンガードライアス期における熱帯アンデス山脈南部の氷河の後退は、温暖化の進行の結果として生じ、大気中の二酸化炭素の増加の影響をおそらく受けている。中緯度域のアンデス山脈の氷河から得られた証拠と合わせて考えると、今回の結果は、ヤンガードライアス期をしのぐ南極の寒冷反転期の寒冷な状況に対する一般的な氷河の応答を示している。

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