構造生物学:光化学系IIの、フェムト秒X線レーザーを用いた連続時分割結晶学の手法による研究
Nature 513, 7517 doi: 10.1038/nature13453
植物や藻類、シアノバクテリアによって触媒される過程である光合成では、日光がエネルギーに変換され、地球上のこれらより高等な生物全ての生命がこれにより維持されている。光化学系IとII(PSIとPSII)という2つの大きな膜タンパク質複合体は連続して働いて、光合成の光が駆動する反応を触媒している。PSIIは光駆動性の水分解過程を触媒し、これによって地球の酸素を含む大気が維持されている。この過程では、PSIIの酸素発生複合体(OEC)は、S0からS4までの5つの状態を経るサイクル反応を行い、この過程では4回の光駆動電荷分離反応によりOECから4個の電子が順番に引き出される。今回我々は、最近開発された連続時分割結晶学の手法を使って好熱菌Thermosynechococcus elongatus由来のPSIIナノ/マイクロ結晶で行った時分割実験について述べる。暗S1状態と、二重レーザー励起後(S3状態と推定される)のPSIIから得られた構造は、それぞれ5 Åと5.5 Åの分解能で決定された。今回の結果から、OECの電子受容体側とMn4CaO5コアでPSIIが大きなコンホメーション変化を経ることの証拠が得られた。こうした変化にはタンパク質環境の変化に伴って起こる金属クラスターの伸長があり、これによって分光学的および計算研究により予測されたように、S2からS3遷移の際に、より遠い所にある突出したMn['dangler' Mn(ぶら下がるMn)と呼ばれている]とMn3CaOxキュバンの間に、第2の基質である水分子が結合できるようになる。この研究は、生体分子の触媒過程の研究に時分割連続フェムト秒結晶学の手法が大きな可能性を持つことを明らかにしている。

