がん:黒色腫でのBRAF(V600E)抑制に対する可逆性および適応性の耐性
Nature 508, 7494 doi: 10.1038/nature13121
BRAFあるいはMEKキナーゼを標的とする低分子薬によるBRAF(V600E)変異型黒色腫の治療は有効な場合があるが、必ず耐性が生じる。対照的に、同じBRAF(V600E)変異を持つ大腸がんは、上皮増殖因子受容体(EGFR)のフィードバック活性化のために、生得的にBRAF阻害剤に耐性である。本論文では、解析した黒色腫腫瘍16例のうち6例は、BRAFあるいはMEK阻害剤に対する耐性が生じた後にEGFRが発現するようになっていたことを示す。我々は、クロマチン調節因子を選択的に標的とする短鎖ヘアピンRNA(shRNA)ライブラリーを用いて、黒色腫でのSOX10(sex determining region Y-box 10)の抑制がTGF-βシグナル伝達を活性化させ、その結果、EGFRおよび血小板由来増殖因子受容体β(PDGFRB)の上方制御が引き起こされ、これがBRAFおよびMEK阻害剤への耐性の原因になることを見いだした。黒色腫でのEGFRの発現あるいはTGF-β処理によって、細胞は増殖の遅い表現型を示すようになり、がん遺伝子誘導性老化の特徴が見られるようになった。しかし、EGFR発現あるいはTGF-βへの曝露は、BRAFあるいはMEK阻害剤の存在下では増殖に有利になる。さまざまなSOX10抑制レベルを示す不均一な黒色腫細胞集団では、SOX10のレベルが低く、その結果EGFRが高発現している細胞は、薬剤が存在する場合には急速に増加するが、薬剤処理を中止すると減少する。我々は、EGFR陽性薬剤耐性黒色腫患者試料6例中4例にSOX10の欠損および/あるいはTGF-βシグナル伝達の活性化の証拠を見いだした。今回の知見は、BRAFあるいはMEK阻害剤耐性黒色腫患者の一部が「休薬期間」後にこれらの薬剤に対する感受性を再獲得する仕組みについての論理的根拠となり、また、EGFR陽性黒色腫患者には休薬期間後の薬剤再投与が有効な場合がある可能性を明らかにしている。

