がん:メラノサイト系譜のプログラムの1つはMAPキナーゼ経路阻害に対する耐性を付与する
Nature 504, 7478 doi: 10.1038/nature12688
セリン/トレオニンプロテインキナーゼであるBRAFに点変異(Val600Glu)が生じている(BRAF(V600E))悪性黒色腫では、腫瘍細胞の増殖はRAF–MEK–ERKシグナル伝達に依存している。RAFおよびMEKの阻害剤はBRAF(V600E)黒色腫に優れた臨床効果を示すが、これらの薬剤に対する耐性はいまだに手ごわい難問である。耐性機構全体の特性を明らかにすれば、より効果的な併用療法の開発に役立つ情報がもたらされる可能性がある。本論文では、RAF阻害剤、MEK阻害剤、ERK阻害剤による処理、あるいはRAF–MEK阻害剤の併用処理を行ったBRAF(V600E)黒色腫細胞株において、15,500個以上の遺伝子を個別に発現させて、系統的な機能獲得性耐性の研究を行った。これらの研究から、これまで薬剤耐性との関連が示されていなかったサイクリックAMP(cAMP)依存性のメラノサイトシグナル伝達ネットワーク[Gタンパク質共役受容体、アデニルシクラーゼ、プロテインキナーゼAおよびCREB(cAMP response element binding protein)を含む]が明らかになった。BRAF(V600E)黒色腫患者の生検の予備的解析から、リン酸化(活性型)CREBはRAF–MEK阻害によって抑制されたが、再発腫瘍では活性を取り戻していることが明らかになった。MAPキナーゼおよびcAMP経路の下流で活性化される転写因子(c-FOS、NR4A1、NR4A2およびMITFなど)の発現も耐性を付与した。MAPK経路阻害剤とヒストンデアセチラーゼ阻害剤の併用療法は、MITF発現およびcAMPが仲介する耐性を抑制した。以上より、これらのデータは、メラノサイト系譜依存の発がん性調節異常がRAF–MEK–ERK阻害に対する耐性を引き起こし得ることを示唆しており、これはシグナル伝達およびクロマチンを対象とした治療の併用によって克服できる可能性がある。

