Review

医学:グルコース恒常性および糖尿病における脳と膵島との協調

Nature 503, 7474 doi: 10.1038/nature12709

19世紀には、グルコース恒常性に脳が重要な役割を果たしていると考えられていたが、20世紀にはそのほとんどを通じて、グルコース恒常性の説明には膵島の機能だけで必要かつ十分であること、また糖尿病はインスリンの分泌やその機能の欠陥の結果であることを示す研究が専ら関心を集めた。しかし、インスリンに依存しない機構、つまり「グルコース感受性(glucose effectiveness)」と言われる過程によってグルコース消失全体のおよそ50%が説明され、また、グルコース感受性の低下は糖尿病の発症機序の重要な要因となっている。グルコース感受性の基盤となる機構はあまり解明されていないが、糖尿病の齧歯類モデルでは、脳がこの過程の動的調節によって血糖値を改善あるいは正常化できることを示唆する証拠が増えつつある。本総説では、インスリン依存性およびインスリン非依存性の両方の機構を介して血液中のグルコースレベルを低下できる、脳中心型グルコース調節系(brain-centred glucoregulatory system;BCGS)が存在する証拠を示し、また、BCGSと膵島の間の複雑で協調性の高い相互作用が正常なグルコース恒常性を促進するというモデルを提案する。どちらか片方の調節系の活性化が、もう一方の系の機能不全を相殺し得るので、糖尿病の発症には両方の系が機能不全になることが必要だろう。従って、インスリン作用の増強に基づく従来の手法に加えて、BCGSをも標的とする治療法は、糖尿病の寛解を誘導する可能性があるが、一方の系のみを標的としても一般に効果は見られないと考えられる。

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