ナノテクノロジー:レーザー駆動誘電体マイクロ構造における電子加速の実証
Nature 503, 7474 doi: 10.1038/nature12664
従来型の高周波技術に基づく現行の最先端加速器は、その規模と費用が莫大であるため、もっと小型で経済的な新しい加速の概念の開発に大きな関心が生まれている。微細加工により作製された誘電体レーザー加速器(DLA)は、そのような誘電体マイクロ構造が高周波空洞に基づく加速器よりも1~2桁以上高い加速場を維持できるため、魅力的な方法である。DLAは、エネルギー源に市販のレーザーを使う。レーザーは、今日の加速器を駆動する高周波クライストロンよりも小型で、費用がかからない。さらに、DLAは大量生産に使える安価なリソグラフィー技術により作製される。しかし、最近DLA構造がいくつか提案されたが、そうした構造で加速の実証に成功した例はこれまで示されていない。本論文では、DLAにおいて250 MeV m−1を超える高い勾配によって電子が加速されることを報告する。相対論的(60 MeV)電子は、溶融石英格子構造の563±104光周期にわたってエネルギー変調され、格子構造は800 nm波長のモード同期チタンサファイアレーザーによって駆動された。観測結果は解析モデルや電気力学シミュレーションとよく一致した。比較すると、従来型の現行の線形加速器は10~30 MeV m−1の勾配で作動し、また最初の線形高周波空洞加速器は、10高周波周期(1 m)長で、その勾配は約1.6 MeV m−1であった。今回の結果から、集積したオンチップシステムからなる将来の多段DLA装置を開発する準備が整った。これによって、セキュリティースキャナーや医療、生物学研究や材料研究に大学で使用する規模のX線光源、持ち運び可能な医用画像化装置に向けたMeV~GeV(106~109 eV)級の小型卓上加速器が可能となり、将来の数TeV(1012 eV)級コライダーの大きさと費用がかなり低減されるであろう。

