細胞生物学:ジストログリカン上のLARGEグリカンが、マトリックスを支える調節可能な足場として機能し、ジストロフィーを防いでいる
Nature 503, 7474 doi: 10.1038/nature12605
あらゆる細胞の周囲は高密度のグリカンが覆っていて、細胞の発生や生理機能に重要な役割を果たしているが、このグリカン被覆の組成が非常に変化しやすいことが次第に分かってきている。糖タンパク質であるジストログリカンが細胞外マトリックス中のタンパク質で受容体として機能するには、LARGE(like-acetylglucosaminyltransferase)による翻訳後修飾によって、 [-3-キシロース-α1,3-グルクロン酸-β1-]nという多糖繰り返し単位が付加される必要がある。ジストログリカン上の[-3-キシロース-α1,3-グルクロン酸-β1-]n(これ以降はLARGEグリカンと呼ぶ)の量が減ると、さまざまな種類の筋ジストロフィーにつながる。しかし、患者での研究でもマウスでの研究でも、糖鎖付加の状態と表現型のとの間の明確な相関は明らかになっていない。この不一致は、LARGEグリカン反復配列の細胞での機能が解明されていないことが関係するのかもしれない。今回我々は、分化途中のマウス筋肉でLargeとジストログリカンが協調的に上方制御されることによって、LARGEグリカンの反復した糖鎖の迅速な伸長が促進されることを明らかにする。合成したLARGEグリカン反復配列を用いて、LARGEグリカンの伸長と、その細胞外マトリックスリガンドへの結合能との間に、直接の相関関係があることが分かった。筋再生の際にLarge遺伝子の上方制御を阻害すると、LARGEグリカン反復配列が最小限のジストログリカンが合成され、それに伴い緩んだ基底膜、未成熟な神経筋接合部、ジストロフィーの素因となる筋肉の機能異常が生じた。これは、臨床的重症度の高いジストロフィー患者ほどLARGEグリカン反復配列が少ないという知見と一致する。これらの結果から、ジストログリカンのLARGEグリカンは細胞外マトリックスタンパク質が結合するための調整可能な足場として働き、その伸長が正常な骨格筋の機能に必要であることが明らかになる。

