生理:日周性の血清脂質が肝臓の脂質生成と末梢の脂肪酸利用を統合する
Nature 502, 7472 doi: 10.1038/nature12710
食餌摂取は肝臓のde novo脂質生成活性を上昇させ、これによってグルコースの貯蔵あるいは利用のための脂肪への変換が仲介される。マウスでは、このプログラムは、概日リズムに従い、夜間の摂餌でピークになり、昼間にはRev-erbα/βおよびHDAC3含有複合体によって抑制されている。夜間の周期的な脂質合成を制御する転写活性化因子はほとんど解明されていない。また、肝臓の脂肪生成の攪乱は全身性の代謝表現型にも関連していることから、肝臓の脂質生成が末梢組織と情報を伝達し合い、エネルギー基質恒常性を制御していることが示唆される。本論文では、肝臓のPPARδ依存性de novo脂質生成経路が、循環中の脂質を介して、筋肉による脂肪利用を調節することを明らかにする。核内受容体PPARδは夜間/摂餌周期において脂質生成遺伝子の日周性発現を制御する。筋肉の脂肪酸取り込みは、肝臓特異的なPPARδ活性化により増加するが、肝細胞でのPpard欠失により減少する。代謝物不偏プロファイリングから、ホスファチジルコリン18:0/18:1[PC(18:0/18:1)]が、肝臓PPARδの日周性活性によって調節される血清脂質であることが明らかになった。PC(18:0/18:1)は、摂餌後の脂質レベルを低下させ、筋肉のPPARαを介して脂肪酸利用を増加させる。高脂肪食摂餌ではPC(18:0/18:1)の周期的産生が見られず、db/dbマウス(別名、Lepr−/−)にPC(18:0/18:1)を投与すると代謝恒常性が改善される。これらの知見は、2つの近縁な核内受容体の活性を協調させることによって、肝臓での脂質合成を筋肉でのエネルギー利用に共役させる、統合された調節回路を明らかにしている。これらのデータは、肥満などの代謝性疾患には、日周性の肝臓PPARδ–PC(18:0/18:1)シグナル伝達の変化が関与することを示唆している。

