構造生物学:アドレナリンで活性化されたβ2アドレナリン受容体の改造ナノボディにより安定化された構造
Nature 502, 7472 doi: 10.1038/nature12572
Gタンパク質共役型受容体(GPCR)はヒトの生理に不可欠の役割を持つ内在性膜タンパク質だが、内因性アゴニストに結合してエフェクタータンパク質を活性化する分子過程はまだよく分かっていない。本来の結合相手である神経伝達物質に結合した活性化状態のGPCRを捕捉することは、これまで不可能だった。アゴニストが結合したGPCRの結晶構造が得られるかどうかは、例外的に高い親和性を持つアゴニストもしくは変異導入による受容体の安定化が可能かどうかによって決まる。β2アドレナリン受容体(β2AR)を活性化するアドレナリンなどの多くの天然のアゴニストは、比較的低い親和性で結合し、化学的には不安定であることが多い。我々は、定向進化の手法を使って、β2ARの活性化状態を安定化する高親和性のラクダ科動物抗体フラグメント(ナノボディ)を遺伝子工学的に作成し、これを使って複数のリガンドに結合した活性化受容体の結晶構造を得た。本論文では、超高親和性アゴニストであるBI167107、高親和性カテコールアミンアゴニストであるヒドロキシベンジルイソプロテレノール、それに低親和性の内因性アゴニストであるアドレナリンという、3つの化学的に異なるアゴニストと結合した活性化状態のヒトβ2ARの構造を示す。結晶構造から、リガンドの大きく異なる化学的構造と100 nMから約80 pMという広がりのある親和性にもかかわらず、リガンド認識と活性化様式は全体的に高度に保存されていることが分かった。全般的に、アドレナリンが結合した受容体の構造は、リガンドが結合した他の受容体と似ているが、細胞外ループ3と膜貫通へリックス6の細胞外の端に大きな再配列が生じている。これらの構造から2つの保存されたチロシン間に水が関わって生じる水素結合が明らかになった。これがβ2ARおよび近縁のGPCRの活性化状態を安定化しているように見える。

