医学:ヒトMX2はHIV-1感染に対するインターフェロン誘導性侵入後阻害因子である
Nature 502, 7472 doi: 10.1038/nature12542
動物細胞には、ウイルス複製を阻害する複数のエフェクター機構が生得的に備わっている。病原性レトロウイルスであるヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)に対するこのような阻害機構としては、APOBEC3タンパク質、TRIM5-α、BST2やSAMHD1などの広く発現される制限因子に加えて、1型インターフェロン(IFN)によって刺激される特別な因子などが挙げられる。今回我々は、異所性発現および遺伝子サイレンシング実験の両方を用いて、MX2(human dynamin-like, IFN-induced myxovirus resistance 2、別名MXB)タンパク質がHIV-1感染の強力な阻害因子であり、またHIV-1感染に対するIFN-αを介した抵抗性の重要なエフェクター因子であることを明らかにする。MX2は調べた全てのHIV-1株による感染を抑制し、多様なサル免疫不全ウイルスに対してはこれと同等、もしくは低い効果があり、マウス白血病ウイルスなどのこの他のレトロウイルスは阻害しない。ウイルスGagタンパク質のキャプシド領域がMX2に対する感受性に影響しており、感染遮断は侵入後段階の後期に起こり、ウイルスの新生相補的DNAの核での蓄積と染色体への組み込みの両方の抑制を伴う。また、これと非常に近縁のタンパク質であるヒトMX1(別名MXA)は、オルトミクソウイルスであるA型インフルエンザウイルスなどのRNAウイルスおよびDNAウイルスに広く作用する阻害因子であることがずっと以前から分かっており、HIV-1には影響しないのに対して、MX2はインフルエンザウイルスには影響を及ぼさない。従ってMX2は、細胞自律的な抗HIV-1抵抗性因子であり、その治療目的での活性化はHIV/エイズ治療のための新たな手法となる可能性がある。

