Letter

生物工学:微生物による短鎖アルカン類の生産

Nature 502, 7472 doi: 10.1038/nature12536

有限な化石燃料と地球環境問題に関する懸念が増しているため、再生可能資源から持続可能なバイオ燃料を開発する必要性に注目が集まっている。これまでに微生物によるディーゼル燃料生産は報告されているが、需要の大きいもう1つの輸送用燃料であるガソリンの生産は実証例がない。今回我々は、脂肪酸アシル[アシルキャリヤータンパク質(ACP)]から脂肪酸、脂肪酸アシルCoAへの経路により、短鎖アルカン(SCA;ガソリン)、遊離脂肪酸(FFA)、脂肪酸エステル、脂肪アルコールを生産する能力を持つプラットフォーム大腸菌株群を開発したことを報告する。まず、fadE遺伝子を欠失させることによってβ酸化経路を遮断し、in vivoで生成する脂肪酸アシルCoAの分解を抑制した。in vivoでSCAに変換されやすい短鎖脂肪酸の生成量を増加させるため、fadR遺伝子を欠失させることにより、3-オキソアシル-ACPシンターゼ(FabH)の活性を増強して脂肪酸生合成の開始を促進した。FabHの活性は不飽和脂肪酸アシル-ACPによって阻害されるが、fadR遺伝子を欠失させると、不飽和脂肪酸の生合成を担うfabAおよびfabB遺伝子の上方制御が妨げられる。改変チオエステラーゼを用いて短鎖脂肪酸アシル-ACPを対応するFFAに変換し、続いてそれを、大腸菌の脂肪酸アシルCoAシンテターゼ、Clostridium acetobutylicumの脂肪酸アシルCoAレダクターゼ、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の脂肪アルデヒドデカルボニラーゼの連続的な反応によってSCAに変換した。最終的な組換え株は580.8 mg l−1ものSCAを生産した。その組成は、ノナン(327.8 mg l−1)、ドデカン(136.5 mg l−1)、トリデカン(64.8 mg l−1)、2-メチルドデカン(42.8 mg l−1)、テトラデカン(8.9 mg l−1)、およびその他の炭化水素群(少量)であった。さらにこのプラットフォーム株は、fadD欠失株を用いれば短鎖FFAを生産でき、アシネトバクター(Acinetobacter)種のADP1ワックスエステルシンターゼ(atfA)および大腸菌の変異アルコールデヒドロゲナーゼ(adhEmut)を導入すれば短鎖脂肪酸エステルの生産も可能である。

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