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細胞:H19–Igf2遺伝子座での母方のインプリンティングは成体造血幹細胞の休止を維持する

Nature 500, 7462 doi: 10.1038/nature12303

母方あるいは父方の対立遺伝子の単一対立遺伝子性DNAメチル化による、インプリンティング遺伝子のエピジェネティックな調節は、胚の成長や発生に非常に重要である。最近、インプリンティング遺伝子が、哺乳類の成体幹細胞に発現しており、神経および肺の幹細胞の自己複製を助けていることが示された。しかし、成体幹細胞におけるインプリンティング自体の役割は解明されていない。本論文では、長期造血幹細胞では、H19–Igf2遺伝子座の遺伝子などの増殖を制限するインプリンティング遺伝子の上方制御が見られること、そして活性化されたり増殖したりしている造血幹細胞ではそれらの遺伝子の下方制御が見られることを示す。インプリンティングの制御領域として機能する、H19上流の差異的メチル化領域(H19-DMR)は、母方の対立遺伝子由来のH19および父方の対立遺伝子由来のIgf2の相反的な発現を決定する。さらに、H19は、Igf1rの発現を制限するmiR-675の供給源となる。我々は、母方のH19-DMRの条件的欠失により、休止状態にあって幹細胞の長期維持を担っている成体造血幹細胞の数が減少して、造血幹細胞機能が損なわれるが、父方のH19-DMRの条件的欠失ではこのような影響がないことを実証する。母方特異的なH19-DMRの欠失がIgf2–Igfr1経路の活性化を引き起こすことは、核から細胞質へのリン酸化型FoxO3(不活性型)の移行や、FoxO3が仲介する細胞周期停止の解除から明らかで、それが、造血幹細胞の活性化亢進、増殖により最終的には枯渇へとつながる。機構としては、母方特異的なH19-DMRの欠失が、Igf2の上方制御およびIgf1rの翻訳増加(通常はH19由来のmiR-675によって抑制されている)を引き起こす。同様に、Igf1rの遺伝学的不活化は、H19-DMR欠失の表現型を部分的に救済する。我々の研究は、H19–Igf2遺伝子座でのこの独特な形式のエピジェネティック制御が持つ、成体幹細胞の維持における新しい役割を確証している。

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