Letter

神経科学:ショウジョウバエの動き検出器(EMD)の方向性同調マップ

Nature 500, 7461 doi: 10.1038/nature12320

変化する網膜像から方向性のある動きの情報を抽出することは、あらゆる視覚系において最も早期かつ最も重要な処理段階の1つである。ハエの視葉では、2つの一次介在ニューロンL1とL2からT4とT5細胞を経て、小葉板の大きく広範囲な動き感受性介在ニューロンへとつながる2つの並列した処理の流れが解剖学的に記述されている。従って、T4・T5細胞は動きの処理に極めて重要な役割を持つと考えられる。しかし、T4・T5細胞はサイズが小さいためにそこから電気的記録を取ることは困難であり、これらの細胞の視覚応答特性はほとんど不明のままである。我々は、この問題を回避するために、遺伝的にコードされたカルシウム指示薬GCaMP5を用いてショウジョウバエ(Drosophila)のT4・T5細胞からの光学的測定記録を得た。本論文では、T4・T5細胞の特定の亜集団が4つの主要な方向、すなわち前から後ろ、後ろから前、上向き、下向き、のどれか1つに同調されることを明らかにする。T4・T5細胞は、同調される方向に従って小葉板の特定の副層に終止する。T4・T5細胞はコントラスト極性に関連して機能的に分けられており、T4細胞は明るさが増強する(ONエッジ)動きに選択的に応答するのに対して、T5細胞は明るさが減弱する(OFFエッジ)動きにだけ応答する。T4あるいはT5細胞からの出力がブロックされると、T4ブロックの場合はONエッジの動き、T5ブロックの場合はOFFエッジの動きに対応する小葉板の後シナプスニューロンの応答が選択的に障害される。つながれて歩行するハエの回転応答においても、同様の効果が観察される。従って、視覚入力はL1・L2から始まり、ONとOFFの別々の経路に分かれ、4つの主要な方向に沿った動きが、それぞれの経路で個別に計算される。これらの8つの異なった動き検出器の出力はその後、同一の方向性を持つON(T4)およびOFF(T5)動き検出器が小葉板の同じ層に収束するように選別され、共同で下流回路への入力と動きが作り出す行動をもたらす。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度