生態:生態系ネットワークでは機能的絶滅が高頻度に起こっている
Nature 499, 7459 doi: 10.1038/nature12277
自然界の生物集団や生息地が極度に利用されたため、多くの生物種の死亡率が増加し、個体数が減少してしまった。このことにより、生物種の個体数が臨界閾値以下になり、その結果として生態系で絶滅カスケードや生物相の変化が引き起こされる可能性に対して、懸念が高まっている。ある生物種の死亡率の増加と個体数の減少が他の生物種の絶滅につながる場合、その生物種はたとえ生き残っていても、機能的に絶滅していると見なすことができる。このような機能的絶滅はいくつかの生態系で観察されてきたが、その頻度はほとんど分かっていない。今回、我々は新しいモデル化法を用いて、生態系ネットワークにおける機能的絶滅の頻度とパターンを調べた。具体的には、生態系ネットワーク内で絶滅が発生するまでネットワーク内の各生物種の死亡率を増加させることにより、その生物種の個体数の臨界閾値を解析的に導いた。この手法を自然界と理論上の食物網に適用することにより、最初に絶滅に向かう可能性が最も高いのは、死亡率が増加した生物種ではなく別の生物種であることが分かった。実際、最初に起こった絶滅の80%が、死亡率が増加したのとは別の生物種であり、このことから、生物種はその存在自体が脅かされる以前に生態系での機能を失う場合が多いと考えられる。さらに、食物連鎖の頂点に位置する体の大きな生物種は、下位にいる体の小さな生物種に比べて、死亡率のわずかな増加や個体数のわずかな減少で機能的な絶滅に向かうことが見いだされた。これらの結果は、生態系ネットワークでは機能的絶滅が重要である可能性を示しており、また保全生物学では、単なる持続性ではなく生態学的な機能性に基づいて個体数の目標値を設け、個々の種でなく群衆に注目した取り組みをするべきだという主張を強く裏付けている。

