Letter
気候:北大西洋における数十年の時間スケールでの表面熱流束の制御
Nature 499, 7459 doi: 10.1038/nature12268
約50年前ビヤークネスは、北大西洋中緯度域における大規模な大気海洋相互作用の性質は時間スケールによって異なることを示唆した。すなわち、大気は、海面水温(SST)の短期的な変動(年々変動)の大部分を直接駆動し、海洋は、SSTの長期的な変動(数十年規模変動)に大きく寄与し、大気変動にも寄与している可能性があると考えられていた。短い時間スケールに関する推測はよく受け入れられているものの、大西洋のSSTの数十年規模変動(AMV)の解明は、海洋観測が不十分なためいまだに困難である。しかしAMVは、大西洋のハリケーン活動やサヘル地方の降水など重要な気候現象と関連があるため、社会経済的に極めて重要であるにもかかわらず、北大西洋地域における人為起源のシグナルの検出を妨げている。AMVへの海洋の影響に関する直接証拠は、大気海洋相互作用の伝達手段である表面熱流束によってのみ得ることができる。本論文では、北大西洋中緯度域において10年以上の時間スケールでは、表面の乱流熱流束が、実際に海洋によって駆動され、大気に強制を与える可能性があるのに対し、短い時間スケールではその逆が当てはまるという観測証拠を示し、これにより、ビヤークネスの推測を裏付けている。今回の知見は、北大西洋中緯度域の大気海洋相互作用の予測可能性を、海洋を越えて周辺の大陸の気候に拡張できる可能性を示唆している。

