Letter
進化:大型類人猿の遺伝的多様性と集団の歴史
Nature 499, 7459 doi: 10.1038/nature12228
多くの大型類人猿では遺伝的変異の特徴がまだ調べられていないが、その研究は、集団の歴史、遺伝的組換え、選択、および罹病性の解明に極めて重要である。今回我々は、大型類人猿の6種全てと7亜種について、野生個体および飼育下で生まれた個体の総計79個体のゲノム塩基配列を高カバー率で解読し、一塩基多型を8,880万個明らかにした。この解析から、各種内の遺伝的に異なる集団、遺伝子流動のシグナル、およびチンパンジーの異なる2群(ナイジェリア–カメルーンチンパンジー/ニシチンパンジーおよびチュウオウチンパンジー/ヒガシチンパンジー)への分岐に関する裏付けが得られた。ほぼ全ての野生集団に大規模な同系交配が認められ、それはヒガシゴリラで最も極端であった。推定される有効個体数には系統ごとに大きな経時的変化が認められ、このことは、ほぼ全種で遺伝子やその近傍の遺伝的多様性に重大な影響を与えていると思われる。ヒトおよび大型類人猿系統の全体で1,982個の機能喪失変異を見つけ、その分布状況を解析したところ、ヒト系統分枝の遺伝子喪失速度が他の大型類人猿系統の内部分枝のものと比べて差がないことが判明した。大型類人猿ゲノムの多様性に関する今回の包括的目録は、大型類人猿の進化を解明するための枠組みとなり、また、大型類人猿の野生および飼育集団をより効果的に管理するための情報源となる。

