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医学:ハダカデバネズミのがん抵抗性には、高分子量ヒアルロナンが関わっている

Nature 499, 7458 doi: 10.1038/nature12234

ハダカデバネズミ(Heterocephalus glaber)は極めて寿命が長く、最長では30年を超える。これは、齧歯類について報告されている寿命としては最も長く、ハダカデバネズミの体重が軽いことを考えると、非常に意外といえる。これに比べると、サイズが同程度のハツカネズミの寿命は最長で4年である。また、ハダカデバネズミは寿命が長いだけでなく、がんに対して並外れた抵抗性を示す。ハダカデバネズミの大きなコロニーの複数年にわたる観察でも、がんの発生は一例も見つからなかった。今回我々は、ハダカデバネズミのがん抵抗性の原因となる機序を明らかにした。ハダカデバネズミの繊維芽細胞は、極めて分子量の大きいヒアルロナン(HA)を分泌しており、その大きさはヒトHAやマウスHAの5倍以上であることが分かった。この高分子量HAがハダカデバネズミの組織に大量に蓄積するのは、HA分解酵素の活性が低く、またヒアルロナンシンターゼ2(HAS2)の塩基配列が独特なためである。さらに、ハダカデバネズミの細胞は、マウス細胞やヒト細胞に比べるとHAに対する親和性が高いため、HAシグナル伝達に対する感受性がより高い。マウス繊維芽細胞なら十分に悪性形質転換が起こる程度にシグナル伝達系を擾乱させても、ハダカデバネズミの細胞では形質転換が起こらない。しかし、HAS2のノックダウンやHA分解酵素HYAL2の過剰発現によって高分子量HAを取り除くと、ハダカデバネズミの細胞も悪性形質転換を起こしやすくなり、こうした細胞をマウスに移植すると速やかに腫瘍が形成される。ハダカデバネズミは、地中のトンネルでの生活に必要な皮膚の弾力性を生み出すために、皮膚に高濃度のHAが含まれるように進化してきたと我々は考える。この形質は、ハダカデバネズミにがんの抵抗性と長寿命をもたらすためにも使われてきたのかもしれない。

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