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構造生物学:X線結晶解析により明らかとなったマルトース輸送体での炭素カタボライト抑制

Nature 499, 7458 doi: 10.1038/nature12232

効率的な炭素利用は、微生物が競合的環境で生存していくために非常に重要である。細菌はエネルギー利用を最適化するために統合的な制御系を発達させ、糖質を優先的に取り込むことで迅速な増殖を可能にしている。グルコースなどの望ましい炭素供給源が利用可能である場合には、二次的な炭素源の輸送や代謝に必要なタンパク質の合成と活性が抑制される。この調節事象は、炭素カタボライト抑制と呼ばれている。腸内細菌では、炭素カタボライト抑制の重要な因子がグルコース特異的ホスホトランスフェラーゼ系の酵素IIA(EIIAGlc)である。グルコースが利用可能な際には、リン酸化されていないEIIAGlcがさまざまな輸送体に結合しその活性を阻害することが知られている。しかし、いずれのEIIAGlc –輸送体複合体も構造が全く分かっていなかったために、基盤となる分子機構の解明が妨げられてきた。今回我々は、ATP結合カセット(ABC)輸送体であるマルトース輸送体と複合体を形成した大腸菌(Escherichia coli)のEIIAGlcの分解能3.9 Åでの結晶構造を示す。この構造から、2つのEIIAGlc分子が細胞質にあるATPアーゼサブユニットに結合し、輸送体の内側に向いたコンホメーションを安定化させて、ATP加水分解に必要な構造再編成を防止していることが分かった。また、完全長EIIAGlcとアミノ末端が切断された変異体では50%阻害濃度が60倍異なり、これは結晶構造中では無秩序なアミノ末端領域が細胞膜アンカーとして機能し、細胞膜でのEIIAGlc有効濃度を上げているという考え方と合致する。まとめると以上の結果は、中心的な調節タンパク質EIIAGlcが、大腸菌でのマルトース取り込みをアロステリックに阻害する仕組みのモデルの1つを示唆している。

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